加齢に伴う全身の慢性炎症の原因や影響

加齢に伴う全身の慢性炎症

加齢に伴う全身の慢性炎症

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慢性炎症とは

慢性炎症とは、体内で長期間にわたって続く炎症反応のことです。
私たちの体には、ウイルスや細菌などの外敵から身を守る免疫システムが備わっています。そのシステムが働いて起こる炎症反応で体は守られています。通常、この炎症反応は一過性のものですが、様々な原因で炎症の回復が間に合わずに長期にわたって続くと、健康問題を引き起こすようになります。これが「慢性炎症」です。
慢性炎症は、まるで体の中で小さな火種がくすぶり続けるような状態です。
最初は自覚症状がほとんどない場合もありますが、血管や臓器にじわじわとダメージを与え続け、気がついたときには様々な病気を引き起こしていたり、病気が進行していることがあります。

慢性炎症とは イメージ

慢性炎症が関連する疾患例

慢性炎症は多くの病気の発症や悪化を引き起こす可能性があり[1]、「万病のもと」とも言われています。以下に、慢性炎症と関連する代表的な疾患を示します。

疾患名 説 明 慢性炎症との関係 初期症状
循環器疾患 動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞など、血液を巡らせる心臓や血管に異常が生じる病気。 内臓脂肪周辺の慢性炎症で血管に溜まったコレステロールで血管が狭くなる。 心筋梗塞の場合
  • 胸の痛みや締め付け感
  • 吐き気や嘔吐 など
※ただし前兆なく発症する場合も多い
生活習慣病 糖尿病・肥満・高血圧など、食事や運動や喫煙といった生活習慣が深く関係する病気。 慢性炎症が生活習慣病の進行や動脈硬化やがんなどの合併症を引き起こす要因。 糖尿病の場合
  • のどの渇き
  • 倦怠感
  • 手足のしびれ など
※ただし初期は自覚症状が少なく気づきにくい
がん 細胞の遺伝子が損傷して生まれた異常な細胞が増殖して生じる。日本の死因1位。 慢性炎症で細胞のDNAが損傷したりDNA変異が起こる可能性がある。 大腸がんの場合
  • 便秘/下痢
  • 貧血
  • 血便 など
アルツハイマー型
認知症
脳内に蓄積された特殊なたんぱく質に神経細胞が破壊され、脳が委縮することで発症する。 慢性炎症が神経細胞の破壊や機能低下を引き起こす。
  • 最近のことを忘れる
  • 日付や曜日が分からない
  • 同じものを買ってしまう
  • 計画立てて進められない など
うつ病 脳内の神経伝達物質が減少し、長期にわたって気分が落ち込み、無気力になる精神的な病気。 慢性炎症が脳内の神経伝達物質に影響を与える。
  • 気分の落ち込み
  • 興味の喪失
  • 疲労感
  • 睡眠障害

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慢性炎症が体に悪影響をもたらす
メカニズム

炎症性物質の放出

慢性炎症が続くと、体内の免疫細胞が炎症性の物質を放出します。これらの物質は炎症反応を維持し、周囲の組織にダメージを与えることがあります。

組織の損傷

長期にわたる炎症は、細胞や組織に対する持続的なダメージを引き起こします。例えば、関節に影響を与えた場合は、関節軟骨が破壊され、変形性膝関節症などの病気が進行します。

免疫系の異常

慢性炎症が続くと、免疫系が過剰に反応し、自分自身の健康な組織を攻撃することがあります。これにより、自己免疫疾患が発症することがあります。

酸化ストレスの増加

慢性炎症は体内での酸化ストレスを増加させます。酸化ストレスは、細胞のDNAや細胞膜に損傷を与え、さまざまな病気のリスクを高めます。

慢性炎症が体に悪影響をもたらすメカニズム

慢性炎症の主な原因

慢性炎症はさまざまな要因によって引き起こされる可能性があります。以下に、主な原因をいくつかご紹介します。

加齢

年齢を重ねると体内の免疫機能が低下するため、免疫システムが過剰に反応したり制御が効かなくなることがあります。また、炎症性物質を分泌しやすい老化細胞が増えることも関係します[2]

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食生活

糖質や脂質の多い食事、食品添加物の過剰摂取などは、慢性炎症を促進する可能性があります。内臓脂肪の蓄積によって、脂肪細胞から炎症性物質が分泌されることも影響します[3]

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運動不足

内臓脂肪の蓄積による炎症物質の分泌、ホルモンバランスの乱れからの炎症の助長、血流悪化で炎症物質の排出が困難になるなどの影響から、運動不足は慢性炎症のリスクを高める可能性があります。

運動不足 イメージ

睡眠不足

睡眠は正常な免疫機能を保つ上でとても重要です。睡眠が十分にとれていないと免疫機能を低下させ、炎症を調整することが難しくなり、慢性炎症を悪化させる可能性があります。

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ストレス

ストレスによって自律神経のバランスが乱れたり、免疫機能が低下することがあります。また、ストレスが長期間に及ぶと炎症性物質が増加するため、慢性炎症を悪化させる可能性があります。

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喫煙

タバコに含まれる有害な化学物質は、体内の炎症反応の上昇に関係しています[4]。同時に抗炎症性物質のレベルを低下させることもあり、慢性炎症を促進する可能性があります。

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飲酒

過剰なアルコール摂取は、肝臓に負担をかけ、肝臓に炎症を起こします。また、免疫細胞の機能低下、活性酸素の増加、腸内バリア機能の低下などの影響も考えられ、全身の慢性炎症を促進する可能性があります。

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セルフチェックリスト

慢性炎症は、自覚症状がないまま進行することも多く、放置すると様々な病気のリスクを高めます。まずは生活習慣を見直し、慢性炎症を予防することが大切です。
もし、以下のチェックリストに該当する項目がある場合は、お気軽にご相談ください。

慢性炎症チェックリスト

  • いつも体がだるい、疲れやすい
  • しっかり寝ても疲れが取れない
  • 頭がぼーっとする
  • やる気が出ない、憂鬱な気分になる
  • 関節や筋肉が痛む
  • 肌荒れしやすい
  • 口内炎ができやすい
  • 風邪をひきやすい

一般的な治療法

治療法 内容 課題
生活習慣の見直し 食生活の見直し、適度な運動、十分な睡眠、ストレス対策、禁煙など 継続することが難しい
薬物療法 抗炎症薬や免疫抑制薬など 根本的な解決にならない場合があり、副作用のリスクもある

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