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肌の老化の原因
肌の老化は、年齢を重ねると誰もが経験する自然な現象です。しかし、シワやたるみ、シミ、くすみが目立つようになる変化に悩む方々は少なくありません。
改善には、まず原因を知ることが効果的な対策の第一歩です。肌の老化は、加齢による細胞の再生能力の低下、紫外線によるダメージ、乾燥、生活習慣の乱れなど、様々な要因が複雑に絡み合って進行します。
コラーゲンやエラスチンの減少
コラーゲンやエラスチンは、肌のハリや弾力を保つために欠かせない成分です。これらは肌の構造を支える「基盤」として働き、肌に弾力性やしなやかさを与えています。しかし、年齢を重ねるにつれてこれらの成分は減少し、肌は徐々に弾力を失います[1]。また、紫外線の影響や酸化ストレスなどによって、そのスピードは加速されます。
ヒアルロン酸の減少
ヒアルロン酸は、肌の水分を保持し、ふっくらとしたハリのある肌を保つために重要な成分です。しかし、20代をピークに生産量は徐々に減少し、40代以降になるとその量は大幅に減少し[2]、乾燥やシワが目立つようになります。乾燥した肌はバリア機能も低下し、外部からの刺激に弱くなり、炎症やトラブルが起こりがちです。
紫外線によるダメージ
紫外線は、肌老化の最大の外的要因です。紫外線には2種類あり、UV-Aは真皮層に作用してコラーゲンやエラスチンを破壊し、シワやたるみを引き起こします。もうひとつのUV-Bは表皮に炎症を引き起こし、シミの原因となります。
さらに紫外線は活性酸素を発生させ、肌細胞を損傷して老化を加速させます。
肌の糖化
肌の酸化は、紫外線やストレス、偏った食生活などで増加する活性酸素が原因で、細胞がダメージを受け老化が進行します。コラーゲンが破壊され、シワやたるみ、シミなどが目立つようになります。
糖化は、摂取した糖分が体内のタンパク質と結びつき、肌に悪影響を与える物質「AGEs」を生成する現象です。AGEsの蓄積によって肌の弾力が失われ、シワやたるみが現れやすくなります。過剰な糖分摂取や加齢の他、紫外線によっても促進されるため、肌のくすみや黄ばみの原因にもなります。
血行不良
通常、血液は酸素や栄養を肌細胞に届け、老廃物を排出しています。しかし、加齢や運動不足、冷えなどが原因で血行が悪くなるとその機能が滞り、ターンオーバーが乱れてしまいます。その結果、くすみや乾燥、シワやシミやたるみなどが悪化しやすくなります。
肌老化のサインとその影響
肌老化のサインは、シワ、たるみ、シミ、くすみ、毛穴の開き、乾燥などが代表的です。年齢とともに進行し、肌の健康状態を表すだけでなく、顔全体の印象といった見た目にも大きく影響します。
肌老化のサイン | 主な原因 | 影響 |
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シワとたるみ | コラーゲンやエラスチンの減少 ヒアルロン酸の減少 紫外線によるダメージ |
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シミ | 紫外線によるダメージ |
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くすみ | 血行不良 肌の糖化 |
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毛穴の開き | コラーゲンやエラスチンの減少 |
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乾燥 | ヒアルロン酸の減少 紫外線によるダメージ |
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一般的な治療法
肌老化のサインは、放置しておくとさらに深刻化し、治療が難しくなる可能性があります。これらのサインに早期に気づき、適切な対策を取ることが、肌の若々しさを保つことに不可欠です。
対策・治療法 | 内容 | 課題 |
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スキンケア | 保湿の徹底、紫外線対策、適切なクレンジング、抗酸化美容液など | 肌の根本的な改善は難しい |
生活習慣の見直し | バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス管理など | 継続することが難しい |
サプリメント | ヒアルロン酸やコラーゲン、ビタミンCやE、オメガ-3脂肪酸、セラミドなど | 効果を実感するまでに時間がかかる 効果を裏付けるエビデンスが乏しい |
- [1] M. Cattell, et al. Age-related changes in amounts and concentrations of collagen and elastin in normotensive human thoracic aorta. Clin Chim Acta. 1996 Feb 9;245(1):73-84.
- [2] Longas MO,et al. Evidence for structural changes in dermatan sulfate and hyaluronic acid with aging. Carbohydr Res. 1987 Jan 15;159(1):127-36.
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